更年期の体重増加はなぜ?更年期太りの原因と食事・運動・睡眠でできる対策

「食べる量は変わらないのに、40代後半から体重が少しずつ増えてきた」「お腹まわりだけがぽっこりして、以前のダイエット方法では落ちにくい」と感じていませんか。
更年期に入るころから、体重や体型の変化に悩む女性は少なくありません。年齢のせいだとあきらめてしまう方もいますが、体の中で何が起きているのかを知ると、取り組むべきことが見えてきます。
結論からお伝えすると、更年期の体重増加は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少、筋肉量と基礎代謝の低下、睡眠や自律神経の乱れ、活動量の減少といった変化が重なって起こりやすくなるとされています。
そのため、食事を大きく減らすよりも、たんぱく質を意識した食事、筋トレと有酸素運動の組み合わせ、睡眠を整えることを同時に進めるのが対策の基本です。
本記事では、更年期に体重が増えやすくなる原因、更年期太りの体型の特徴といつまで続くのか、放置した場合の健康リスク、食事・運動・睡眠でできる対策、医療機関に相談したほうがよいケースまで、40代・50代の女性に向けてわかりやすく解説します。
更年期に体重が増えやすいのはなぜ?主な4つの原因

更年期に体重が増えやすくなる背景には、一つではなく、いくつかの変化が同時に起きていることがあります。ここでは主な4つの原因を見ていきましょう。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少
更年期は、卵巣の働きがゆるやかに低下し、女性ホルモンのエストロゲンが大きく減っていく時期です。エストロゲンには、内臓脂肪をつきにくくしたり、悪玉(LDL)コレステロールの値を低くおさえたりする働きがあるとされています。
そのため、エストロゲンが減ると、これまでよりお腹まわりに脂肪がつきやすくなると考えられています。食事の量が変わっていなくても体型が変わってきたと感じるのは、このホルモンの変化が関係している可能性があります。
筋肉量の減少と基礎代謝の低下
筋肉の量は、何もしなければ年齢とともに少しずつ減っていくとされています。筋肉は、体を動かしていないときにもエネルギーを使う組織のため、筋肉量が減ると基礎代謝(生きるために最低限使われるエネルギー)も下がりやすくなります。
若いころと同じ量を食べていても、使われるエネルギーが減れば、そのぶん体に蓄えられやすくなります。「同じ食事なのに太る」と感じる理由の一つです。
自律神経の乱れと睡眠の質の低下
ホルモンバランスの変化は、自律神経の働きにも影響するといわれています。ほてりや寝汗で夜中に目が覚めたり、眠りが浅くなったりする方もいます。
睡眠不足が続くと、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増え、食欲をおさえるホルモン(レプチン)が減るという報告があります。疲れやイライラから甘いものに手が伸びやすくなるなど、睡眠の乱れが食生活に影響することもあります。
活動量の減少と生活の変化
40代・50代は、仕事の責任が重くなったり、子育てや家族のサポートで忙しくなったりと、自分のための運動の時間をとりにくい年代です。疲れやすさから外出が減り、気づかないうちに1日の歩数や体を動かす時間が少なくなっていることもあります。
体を動かす量が減ると消費エネルギーも減り、筋肉も落ちやすくなります。ここまでの4つの原因と、それぞれに合った対策を表にまとめました。
原因 | 体に起きやすいとされること | 主な対策 |
エストロゲンの減少 | お腹まわりに内臓脂肪がつきやすくなる | 筋トレと有酸素運動を組み合わせる。腹囲を定期的に測る |
筋肉量・基礎代謝の低下 | 同じ食事量でも太りやすくなる | 筋トレを週2〜3日。たんぱく質を毎食とる |
自律神経の乱れ・睡眠の質の低下 | 食欲が増えやすく、甘いものが欲しくなる | 睡眠時間を確保し、寝る前の過ごし方を整える |
活動量の減少 | 消費エネルギーが減り、筋肉も落ちやすい | 歩数を増やし、座りっぱなしを減らす |
基礎代謝の仕組みや上げ方については「40代女性が基礎代謝を上げるには?無理なく続ける運動・食事・生活習慣の方法」でも詳しく解説しています。
更年期太りの体型の特徴と、いつまで続くのか

更年期の体重増加は、体重の数字だけでなく、脂肪のつき方にも特徴があります。また、「この変化はいつまで続くのか」も気になるところです。
下半身からお腹まわりへ、脂肪のつき方が変わる
閉経前の女性は、エストロゲンの働きによって、お尻や太ももなどの下半身に皮下脂肪がつきやすいとされています。一方、更年期を迎えてエストロゲンが減ると、お腹の内側につく内臓脂肪が増えやすくなるといわれています。
「体重はそれほど変わらないのに、お腹だけが出てきた」「ウエストまわりのくびれがなくなった」という変化は、この脂肪のつき方の変化によるものかもしれません。
更年期は閉経をはさんだ約10年間
日本産科婦人科学会によると、更年期は閉経の前後5年間を合わせた約10年間を指します。日本人の閉経の平均年齢は約50歳とされているため、おおよそ45〜55歳ごろが更年期にあたります。ただし、閉経の時期には個人差が大きく、40代前半から変化を感じる方もいます。
閉経後も体重管理が大切な理由
閉経後は、エストロゲンが少ない状態が続きます。更年期のつらい症状が落ち着いてきても、筋肉量の減少や内臓脂肪のつきやすさは続くと考えられています。
つまり、更年期太りは「その時期が過ぎれば自然に元に戻る」とは限らないと考えられています。今のうちに食事や運動の習慣を整えておくことが、50代以降の体づくりの土台になります。
体重増加を放置するとどうなる?知っておきたい健康リスク

体重が少し増えただけなら見た目の問題と思いがちですが、更年期以降の体重増加、特に内臓脂肪の増加は、健康面にも関わるとされています。
内臓脂肪の増加と生活習慣病
内臓脂肪が増えると、血圧や血糖値、脂質の値が上がりやすくなるとされています。これらが重なった状態はメタボリックシンドロームと呼ばれ、放っておくと動脈硬化が進みやすくなるといわれています。
また、エストロゲンには悪玉(LDL)コレステロールの値を低くおさえる働きもあるため、閉経後は体重が変わらなくても、LDLコレステロールの値が上がりやすくなることがあります。健康診断の結果は、毎年確認しておきましょう。
骨や筋肉の衰えにも注意
エストロゲンの減少は、骨の量にも影響します。閉経後は骨密度が下がりやすく、骨粗しょう症のリスクが高まるとされています。
体重を落とそうとして食事を極端に減らすと、骨や筋肉に必要な栄養まで不足するおそれがあります。更年期の体重対策は、「体重を減らすこと」だけでなく「骨や筋肉を守ること」も一緒に考えることが大切です。
対策の前に確認したい、今の体の状態

対策を始める前に、今の自分の体の状態を把握しておきましょう。数字で確認しておくと、変化に気づきやすくなります。
体重だけでなく腹囲も測る
更年期は、体重よりも先にお腹まわりのサイズが変わることがあります。メタボリックシンドロームの診断基準では、女性の場合、おへその高さで測った腹囲が90cm以上を内臓脂肪蓄積の目安としています。
月に1回程度、同じ条件(朝起きてトイレに行ったあと、など)でウエストを測ると、体重計の数字だけではわからない変化に気づけます。
1日の過ごし方を振り返る
あわせて、ふだんの生活も振り返ってみましょう。次のような項目に当てはまるものが多いほど、生活習慣の見直しから始めるのがおすすめです。
・朝食を抜くことが多く、夜にまとめて食べている
・1日の歩数が少なく、座っている時間が長い
・甘いものやお酒を、ストレス解消代わりにとることが多い
・寝つきが悪い、夜中に目が覚めることが多い
・食事は炭水化物が中心で、肉・魚・卵・大豆製品が少ない
当てはまる項目があっても、一度にすべてを変える必要はありません。次の章から、取り組みやすい対策を紹介します。
食事でできる更年期の体重増加対策

更年期の体重対策というと「食べる量を減らす」ことを考えがちですが、極端な制限はかえって筋肉を減らし、リバウンドにつながることがあります。大切なのは、量よりも中身とバランスです。
極端な食事制限はしない
食事を大きく減らすと、体重は一時的に落ちても、脂肪と一緒に筋肉も落ちやすくなります。筋肉が減ると基礎代謝が下がり、元の食事に戻したときに体重が戻りやすくなることがあります。
主食・主菜・副菜をそろえた食事を1日3回とることを基本に、間食や夜遅い時間の食事など、見直しやすいところから整えていきましょう。
たんぱく質を毎食とる
筋肉を保つためには、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質を、毎食とることを意識しましょう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人女性のたんぱく質の推奨量は1日50gとされています。
朝食がパンとコーヒーだけ、昼食が麺類だけという日は、卵やヨーグルト、納豆などを1品加えるだけでも、たんぱく質を補いやすくなります。
食べる順番と食物繊維で血糖値の急上昇をおさえる
食事の最初に野菜や海藻、きのこなど食物繊維の多いおかずを食べ、そのあとに肉や魚、最後にごはんを食べる順番は、食後の血糖値の急な上昇をおさえるのに役立つとされています。よく噛んでゆっくり食べることも、食べすぎを防ぐポイントです。
食べる順番の具体的なやり方は「食べる順番ダイエットのやり方|外食やコンビニでも続けやすい血糖値を意識した食べ方」で紹介しています。
大豆製品やカルシウム・ビタミンDも意識する
豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品は、良質なたんぱく質をとれる食品です。さらに、更年期以降は骨の量が減りやすいため、牛乳・乳製品・小魚などのカルシウムや、魚・きのこ類に含まれるビタミンDも意識してとりましょう。
間食とお酒の量を見直す
お菓子や甘い飲み物、お酒は、気づかないうちにエネルギーのとりすぎにつながります。間食をするなら、量を決めて小皿に出す、ナッツやヨーグルトなどを選ぶといった工夫がおすすめです。
お酒は「飲まない日をつくる」「量を決めておく」など、無理のない範囲で調整しましょう。年代に合わせた食事のバランスは「女性のボディメイクを支える食事|栄養バランスと食べ方のコツ、年代別のポイントを解説」も参考にしてください。
運動でできる対策は「筋トレ+有酸素運動」の組み合わせ

更年期の体重対策では、筋肉を保つための筋トレと、脂肪を使うための有酸素運動を組み合わせることがすすめられています。どちらか一方ではなく、両方を取り入れるのがポイントです。
筋トレは週2〜3日を目安に
筋肉量の減少をおさえるには、筋肉に適度な負荷をかける筋トレが大切だとされています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人は筋トレを週2〜3日行うことがすすめられています。
太もも・お尻・背中など、大きな筋肉を使う種目を中心にすると、効率よく体を動かせます。自宅で行う場合は、いすにつかまってのスクワットや、仰向けでお尻を持ち上げるヒップリフトなど、自分の体重を使う種目から始めると取り組みやすいでしょう。
有酸素運動と日常の歩数を増やす
ウォーキングや軽いジョギング、エアロバイクなどの有酸素運動は、体脂肪もエネルギー源として使われやすい運動です。同じガイドでは、成人は歩行またはそれと同等以上の強さの身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上が目安)行うことがすすめられています。
まとまった時間がとれない日は、ひと駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、家事をきびきび行うなど、日常の動きを増やすことでも活動量を積み重ねられます。長い時間座り続けないように、こまめに立ち上がることも大切です。
1週間の運動の組み立て例
筋トレと有酸素運動を、1週間のなかでどのように組み合わせればよいか、例を表にまとめました。体力や予定に合わせて、できるところから取り入れてみてください。
曜日 | 運動の内容 | 時間の目安 |
月 | 筋トレ(スクワット・ヒップリフトなど下半身中心) | 20〜30分 |
火 | ウォーキング(少し息がはずむ程度) | 30分 |
水 | ストレッチ・休養日 | 10分 |
木 | 筋トレ(背中・お腹・腕を中心に)+ウォーキング | 筋トレ20分+歩行15分 |
金 | 通勤や買い物でいつもより多めに歩く | 合計で1日約8,000歩を目安に |
土 | 筋トレ(全身を軽めに)または有酸素運動 | 20〜30分 |
日 | 休養日(散歩や家事で体を動かす程度) | ― |
※表の時間は、意識して行う運動の目安です。これとは別に、通勤や家事などの日常の動きも含めて、毎日1日約8,000歩(60分程度)を目標に体を動かしましょう。
筋トレと有酸素運動を同じ日に行う場合の順番は「筋トレと有酸素運動はどっちが先?目的別のおすすめの順番と30分・60分の時間配分」で解説しています。
体調に合わせて強さを調整する
更年期は、日によって体調の波があります。ほてりや疲れが強い日は、ストレッチや短いウォーキングだけにするなど、無理をしないことが続けるためのコツです。
関節の痛みや持病がある方、運動中にめまいや胸の痛みを感じた方は、運動を中止し、医療機関に相談してください。更年期の運動の種類や気をつけたいポイントは「更年期の運動で体と心を整える方法」でも紹介しています。
睡眠・ストレス・生活リズムを整える

食事や運動とあわせて見直したいのが、睡眠とストレスです。体重とは関係がなさそうに見えますが、食欲や活動量に影響するため、更年期の体重対策では大切な要素の一つです。
睡眠時間を確保し、寝る前の過ごし方を整える
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上の睡眠時間を確保することが目安とされています。寝る直前のスマートフォンやカフェイン、遅い時間の食事は寝つきに影響することがあるため、寝る前の1〜2時間はゆったり過ごしましょう。
日中に体を動かすことは、夜の眠りにもよい影響があるとされています。朝起きたら日の光を浴びる、毎日なるべく同じ時間に起きるなど、生活リズムを整えることから始めてみてください。
ストレスによる食べすぎを防ぐ
イライラや不安が続くと、甘いものや脂っこいものを食べたくなることがあります。食べることでしかストレスを発散できない状態が続くと、体重の増加につながりやすくなります。
入浴でゆっくり体を温める、軽いストレッチや散歩をする、好きな音楽を聴くなど、食べること以外の気分転換の方法をいくつか持っておくと安心です。
婦人科や医療機関に相談したほうがよいケース

更年期の体重増加は、生活習慣の見直しで対策できることも多いですが、なかには医療機関での相談が必要なケースもあります。次のような場合は、自己判断せずに受診を検討しましょう。
更年期の症状が強く、生活に支障が出ているとき
ほてり、のぼせ、気分の落ち込み、不眠などの症状が強く、仕事や家事に影響が出ている場合は、婦人科に相談しましょう。症状に応じて、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などの治療が検討されることがあります。治療の内容や向き不向きは人によって異なるため、医師とよく相談して決めることが大切です。
急な体重の変化やむくみ、だるさがあるとき
短期間で急に体重が増えた、むくみが強い、だるさが続くといった場合は、甲状腺の働きが低下する病気(甲状腺機能低下症)など、更年期以外の原因が隠れていることもあります。気になる症状があるときは、内科や婦人科で相談してください。
健康診断で数値の異常を指摘されたとき
血圧や血糖値、コレステロールの値などで再検査や受診をすすめられた場合は、そのままにせず医療機関を受診しましょう。運動を始める前に、どの程度の運動なら行ってよいかを医師に確認しておくと安心です。
更年期の体重増加に関するよくある質問

最後に、更年期の体重増加についてよくある質問にお答えします。
Q. 更年期太りはいつから始まりますか?
A. 個人差がありますが、エストロゲンが減り始める40代半ばごろから、体重や体型の変化を感じる方が多いとされています。更年期は閉経前後の約10年間を指すため、40代のうちから食事や運動の習慣を整えておくと安心です。
Q. 更年期の体重を落とすには、食事制限が必要ですか?
A. 極端な食事制限はおすすめできません。筋肉や骨に必要な栄養が不足し、基礎代謝が下がったり、リバウンドしやすくなったりすることがあります。量を大きく減らすより、たんぱく質をしっかりとり、間食や夜遅い食事を見直すところから始めましょう。
Q. 運動をしても体重がなかなか減りません。
A. 筋トレを始めたばかりのころは、体重の変化があらわれにくいことがあります。体重だけでなく、ウエストのサイズや服の着心地なども記録してみましょう。変化の感じ方には個人差があるため、数か月単位で続けることが大切です。
Q. 更年期の症状がつらい日も運動したほうがよいですか?
A. 体調がすぐれない日は、無理に運動する必要はありません。ストレッチや深呼吸など軽い動きにとどめ、体調が戻ってから再開しましょう。症状が続く場合は、医療機関に相談してください。
Q. 体重がそれほど増えていなくても対策は必要ですか?
A. 体重が変わらなくても、筋肉が減って脂肪が増えている場合があります。お腹まわりのサイズや健康診断の数値もあわせて確認し、筋肉を保つための運動とたんぱく質を意識した食事を続けておきましょう。
まとめ

更年期の体重増加は、エストロゲンの減少、筋肉量と基礎代謝の低下、睡眠や自律神経の乱れ、活動量の減少が重なって起こりやすくなるとされています。特にお腹まわりにつく内臓脂肪は、生活習慣病のリスクにも関わるとされているため、早めに生活習慣を見直すことが大切です。
対策の基本は、極端な食事制限をせずにたんぱく質を意識した食事をとること、筋トレと有酸素運動を組み合わせること、そして睡眠やストレスケアで生活リズムを整えることです。体調の波がある時期だからこそ、無理のないペースで続けていきましょう。
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